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126話 初めてのラストダンス

last update Date de publication: 2026-10-25 14:44:34

「ずっと約束をし続けていたら、灰色の日々なんてレディの元に訪れません」

「わ、私と次の約束もして下さるんですか……?」

 返事はなかったが、ゆっくりと瞼が閉じられた。イエス、って意味ね。

 彼は、私が不憫だと思ってくれたんだわ。お姉様と瓜二つなのに性格は似ていなくて地味で、お父様の命令に逆らえなくて、何処の知らぬ男と結婚をいずれさせられる令嬢。そんな私と約束をしてくれる、なんて彼は本当に聖人ね。

(恋人になりたい、とかそんなレベルが高いこと言わないわ。お茶友達になれたら最高よね。彼の瞳と同じ色の紅茶を二人で飲むの)

「それなら、お名前を呼び合いましょう……!」

 お互い自己紹介をしていないことに今更気付いたのは、曲が終盤に差し掛かった頃だった。

「私はサラ・ロアソルです」

「俺は──・──です。二人して名乗るのを忘れてましたね」

 彼の口角に笑窪が出来た。

(この笑顔は心の底から笑った時
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    「ずっと約束をし続けていたら、灰色の日々なんてレディの元に訪れません」「わ、私と次の約束もして下さるんですか……?」 返事はなかったが、ゆっくりと瞼が閉じられた。イエス、って意味ね。 彼は、私が不憫だと思ってくれたんだわ。お姉様と瓜二つなのに性格は似ていなくて地味で、お父様の命令に逆らえなくて、何処の知らぬ男と結婚をいずれさせられる令嬢。そんな私と約束をしてくれる、なんて彼は本当に聖人ね。(恋人になりたい、とかそんなレベルが高いこと言わないわ。お茶友達になれたら最高よね。彼の瞳と同じ色の紅茶を二人で飲むの)「それなら、お名前を呼び合いましょう……!」 お互い自己紹介をしていないことに今更気付いたのは、曲が終盤に差し掛かった頃だった。「私はサラ・ロアソルです」「俺は──・──です。二人して名乗るのを忘れてましたね」 彼の口角に笑窪が出来た。(この笑顔は心の底から笑った時の顔ね)「──様は」と私は彼の苗字で呼んだ。名前は恋人でもないから、呼ぶにはおこがましいと思ったのだ。そうしたら彼は首を横に振った。「俺の階級はレディ・ロアソルよりもうんと下です。様はつけなくても良いです」「よ、呼び捨てですか!? そ、そんなことできません!」 彼は私より年上で命の恩人、しかも初恋の人だ。そんな男性を呼び捨てなんて出来る訳がない。「俺はただの──なんです。気になさらず」「気にしますわ! なんてお呼びしたら? 愛称とか……?」 恋人同士もないのに愛称で呼び合うのはおかしな話だ。 苗字の呼び捨てなんて失礼だし……。「お仕事での呼び名とか……?」 それもおかしい。公休日に勤務時での愛称で呼ばれたりしたら、勤務先に居ると思って安らげない。 眉間に皺を寄せてうんうん悩んでいたら、クックっと喉が鳴るような声が聞こえて、私と踊る彼を見た。 笑窪を浮かべながら、

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